ワイン造りとは無縁の家庭に育ったマキシム マニョンですが、いつからかワイン造りを志すようになり、フィリップ・ヴァレット、ティエリー・アルマン、ジャック・セロス、フィリップ・パカレという錚々たる顔ぶれに出会い、その影響を受けました。そんな彼が自分のワインを造る際に目指したスタイルは、一世代上のスター達の良いところを吸収しつつ、なめらかで華やかな果実味の早くから楽しめるスタイリッシュな味わいの自然派ワインでした。「パカレなどの上の世代のスター達に加わりたい。」と考える一方で「彼らもパーフェクトではない、自分はもっと上を目指す。」という情熱が静かにしかし、しっかりと胸に抱いています。

さて、マコン出身のマキシム・・マニョンですが、どうして南仏でワイン造りのキャリアをスタートしたのでしょうか。それは学生時代にぶどう収穫のアルバイトに行ったときのこと。プロヴァンス地方リュベロンに収穫に行き、あるレストランのオーナーと知り合います。それが「マリア・フィタ」のシュミット夫妻でした。シュミット氏には、どこか素晴らしい場所で“エレガントで美味しいワイン”をつくりたいという夢をもっており、マキシムにとっては、まったく新しい場所で自分の腕を試すことができればと、お互いの夢を語るうちに話がどんどん弾んで、共同でワイン造りをすることになったのです。こうしてマコンを離れてルーション地方でワイン造りを開始します。

最初の2年は、マリア・フィタで醸造責任者として、シュミット氏から全幅の信頼を得てワイン造りに専念。初リリースから、瑞々しいアロマとしなやかでナチュラルな味わいを体現させて人気を得ます。「醸造家」として経験を重ねながら、時間を見つけては「自分のぶどう畑」を探し、そしてついに気に入った畑を見つけた彼は、2002年「ロゼッタ」という「自分が思い描くとおりのワイン」を造ります。

彼のワイン「ロゼッタ」はどことなくソフトなタッチが漂っており優しい雰囲気、そんな彼の性格がそこはかとなく表れています。目指すワインは濃縮感やマッチョさではなく、しなやかでフィネスを感じさせるワインです。もう1つのポイントは、ナチュラルな風味を残しながらも、澄んでクリーンな“綺麗”なところ。このあたりが「洗練された綺麗な印象」を与えるのでしょう。

Vdp de la Vallee du Paradis "La Begou" 2004  (白)
Vdp de la Vallee du Paradis "La Begou" 2005  (白)


平均樹齢50年という古木のグルナッシュグリ100%で造られるマキシム・マニョン唯一の白ワイン。収量も15hl/haと少なく、生産者の強い想いが感じられるワインです。30hlの大きな木樽で12ヶ月ほど熟成を行い瓶詰めされます。この地方でこの収量ということであれば、かなり濃密な味わいのワインを想像させますが、実際は繊細な酸があり、優しさのあるミネラル感と果実味が余韻の爽快感を演出してくれます。香りにも還元的なニュアンスはなく、親しみやすい風味になっています。

Vdp de la Vallee du Paradis "La Demarrante" 2005 (カリニャン50% グルナッシュ50%)

過去彼の手がけたマリアフィタに見られるような強烈な凝縮感を持ったワインと対照的なよりカジュアルで生き生きとしたナチュラルな風味が楽しめるワインです。彼のワインのなかでは早飲みタイプに仕上げられていますが、決して薄い味わいではなく、むしろ旨みがじんわりと口の中に広がり続けるエネルギーのあるワインです。 このワインは、マキシムお気に入りの北向き斜面の古木のカリニャンを主としており、その畑の位置のおかげでルーションの強烈な太陽を浴びても「新鮮な果実味」と「みずみずしい味わい」を備えています。発酵はマセラシオン・カルボニックで、グラスファイバー製の樽を使用しています。

Corbieres Rozeta 2004 (カリニャン50% サンソー50%)
Corbieres Rozeta 2005 (カリニャン80% シラー10% グルナッシュ10%)

平均樹齢35〜50年の古木を中心に生産されるワインで、セパージュもヴィンテージごとに異なるものの、基本となるのはお気に入りのカリニャンです。畑の位置が地中海からおよそ30kmで、その海の気候の影響を微妙に受け、ワインの味わいに複雑味を与えています。 収量はわずか20〜25hlですが、この赤ワインも単に凝縮感の強いだけのスタイルでなく、なめらかな果実味と細やかなタンニンのバランスに優れた秀逸なワインとなっています。収穫は手摘みで行い、その後潰れないようにプラスティックケースで運搬します。発酵前の半日ほど10〜12℃に冷やして低温マセレーションを実施し、みずみずしい果実味を与えます。 樹齢が高いので、除梗せずに房丸ごと発酵しており、足で丁寧にピジャージュしながら、上質な成分を抽出しています。発酵温度は最高でも20℃以下という低さが、美しくみずみずしい果実のフレーバーの秘訣です。天然酵母による自然な発酵は約25日行われ、 発酵槽は大きめの木樽で、熟成はコントラフォンで使っていた5〜6年の古樽を使用します。ビン詰め前に上澄みの澄んだ部分を抜出すだけで、澱引きやろ過はしないスタイルです。 SO2の添加は、発酵〜熟成中は行わず、ビン詰め前に10mg/L添加するのみです。

Corbieres Campagnes 05 (カリニャン90% グルナッシュ10%)

マキシムマニョンの新キュヴェで、なんと樹齢80年という古木から収穫されたぶどうを用いています。この畑は、さる所有者がこの村で一番古い(樹齢100年近い)木を引き抜くはずのものでしたが、マキシムがそれを聞きつけ説得し2005年から栽培を引き継ぎました。ワイン名はこの畑のある土地の名前に由来しています。平均樹齢80年の木に育つぶどうは、深みと複雑な味わいを持ったワインとなります。新鮮な風味を引き出すように低温発酵をしており、繊細さを傷つけないようにポンプを極力使わない丁寧な作業を行います。グラスに注ぐと深い色合いの紫で、香りには艶やかな花のニュアンスがあります。しっとりとした口当たりと目の細かいタンニンが非常に印象的な味わいです。